井上路久作陶展「三代で紡ぐ京焼の形」

2017.07.03 更新

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今回、井上路久氏の作品を中心に、親子三代の道筋をたどる展覧会を開催する運びとなった。
 
路久氏は陶芸家の祖父・井上治男氏、父・井上佳久氏の長男として生まれ、五条坂で活躍する素明窯の三代目である。
大学では日本画を専攻、柔らかな曲線が美しい白磁、青白磁の作品を制作している。
 
祖父・治男氏は清水六和、六代清水六兵衛に師事し、日展を中心に活躍。
 
日展審査員、評議員を歴任の後、昭和47年には自身の作品も文部大臣賞を受賞。
 
父・佳久氏も日展と日本新工芸展において活躍。
 
残念ながら両氏共に故人であるが、その志は路久氏の中で力強く生きており、彼の造形の支えとなっている。
 
三代の作品を通して、これまでの京焼きの道筋と、そしてこれからの未来を築いていく京焼が目に浮かぶ。
 
 
 
<井上 路久 陶歴>
1985-陶芸家・祖父 井上治男・
父 井上佳久の長男として
京都に生まれる
2010-京都精華大学 芸術学部
造形学科 日本画 卒
2011-京都府立陶工高等技術専門校
成形科 修了
2012-京都市産業技術研究所 入学
2013-朝日陶庵「ギャラリーくら」個展
2014-京展 入選 
創工会企画
選抜四人展開催(京都文化博物館)
   京都花鳥館賞 最優秀賞 受賞
2015-宝塚市展 鉄斎美術館賞 受賞 
創工会 会員となる 
日工会展 入選
高島屋 京都店 美術工芸サロン 個展 
現在-創工会
京都工芸美術作家協会 会員

加古勝己 陶展

2017.06.16 更新

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端正な造形の中に優しさの感じられる加古の作品。

 

彼は京焼の窯元に生まれ育ち、当たり前のように京焼の仕事を志しました。

 

しかし、嵯峨美術短期大学で新たな陶芸の方向性に感化され、現在は京都と篠山の工房で作陶しています。

 

ルーツは京焼にありながら丹波焼の作家との交流も深く、独自の表現を目指しています。

 

 また彼は求める作品によって、数種類の土と薪窯・電気窯を使い分けます。

 

彼の窯はいずれも小振りであるがゆえに高い頻度で焼成を行います。それによってより多くの試行錯誤が行えるのです。

 

 彼の厳しいまなざしから生まれる作品の優しい魅力を味わって頂ければ幸いです。

 

 

〈加古勝己 陶歴〉

1965 京都市生まれ

1986 嵯峨美術短期大学 陶芸科卒業

1989 日本陶芸展 入選

1994 京都工芸ビエンナーレ展  優秀賞 

2001 倒炎式単窯築窯 薪窯にて焼成をはじめる

2004 田部美術館 「茶の湯の造形展」 優秀賞 

2005 篠山市上筱見にて作陶活動を開始する

2010 第四回現代茶陶展  奨励賞

2011 日本陶芸展 入選  

   田部美術館 「茶の湯の造形展」 奨励賞

木村展之・宜正 兄弟展

2017.06.10 更新

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お兄さんの木村展之さんの作品は春霞のような水色を基本に、一目で展之さんの作品だとわかる、心躍る優しい色が、とりどりに美しい・・・。

 

それに対して弟さんの木村宜正さんの作品は重厚な天目や、ごつごつした肌合い土味の豊かな作品が楽しい・・・。

 

同じ焼き物というジャンルだけれど、こんなにも違いを見せてくださるお二人。

 

お二人の展覧会はきっと、釉薬というものの楽しさ、奥深さを見せつけてくれることでしょう。

 

使いこむほど美しくなる京焼です。是非大切な「一生ものの京焼」を探してください。

 

 

 

<木村展之 陶歴>

1965 京都五条坂に生まれる

1988 京都市工業試験場窯業専攻科修了

父、木村盛伸に師事

1990 日本伝統工芸展初出品入選

以後、多数

1992 楊梅陶窯を開窯独立

1995 日本陶芸展初出品入選

1996 清水卯一先生主幹 「蓬莱会展」出品

 以後’04まで毎年

1997 長三賞陶芸展入選

1999 日本工芸会正会員に認定される

2000 第2回現代茶陶展入選

2006 NHKテレビBS-2 「器夢工房」 出演

 

 

<木村宜正 陶歴>             

1968 京都・岩倉に生まれる

1989 京都府立陶工高等技術専門学校修了

1992 日本伝統工芸展近畿展入選

(以降毎年入選)

1998 清水卯一先生主幹「蓬莱会展」出品 

以後’04まで毎年

2003 日本伝統工芸展初入選

2008  KYOTO&LITTLE KYOTO展出品

 ANTHONY d‘OFFAY GALLERY(ロンドン)

2012  京都美術・工芸ビエンナーレ2012入選

 

 

泉涌寺陶磁器青年会 作陶展

2017.05.10 更新

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「泉涌寺陶磁器青年会」は、御寺泉涌寺近辺の窯元が立ち上げた青年会です。

会員は現在約30名。 京都の他の青年会は地元の作り手だけで会員を構成していますが、この「泉涌寺陶磁器青年会」は泉涌寺近辺だけでなく、日本中から会員を受け入れて、活動の輪を広げています。

そんな彼らの今年のテーマは「多様性」。

ひとつの青年会の中でも、個々の作風には多様性があり、次世代の京焼を担っていく、これまでにない、これからの青年会を目指す展覧会にしたいとのことです。

 

会期中に利き酒のワークショップも開催します。是非「泉涌寺陶磁器青年会」の新しい試みをご高覧ください。

 

ワークショップ「日本酒と器の楽しみを知る」

 

酒数寄者 佐々木達郎氏を講師にお招きして、ぐい呑みの形状の違いによる日本酒の味わいの変化など、ぐい呑みの魅力や器使いを楽しんでいただくワークショップ。

粋なお酒の嗜み方(マナー)もご紹介。 日本酒は京都の蔵元を中心にセレクトし、ぐい呑みは、実際に出品作家有志の器を使用していただきます。

・日時(各回約1時間で10名募集)

2017年6月17日(土) 第1回14:00~ 第2回16:00~        

6月18日(日) 第1回14:00~ 第2回16:00~  

・募集人数、参加費 各回10名 

お一人様参加費¥2000

※ワークショップのお問い合わせ、お申込みは「泉涌寺陶磁器青年会ホームページ」にて承ります。

(講師紹介)酒数寄者 佐々木達郎 旨し酒、佳き肴、粋な器。その三位一体の悦楽を設える酒(http://www.drink-style.com/)を主宰。

おとなの、乙な所作を通して、日本酒の魅力と器遣いの愉しみを伝えます。

柴田良三染付展 「藍の風」

2017.04.02 更新

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柴田良三氏の作品には、いつも爽やかな藍色の風が吹いている。

染物屋に生を受けた柴田氏は「焼きもので染物をしている」と笑う。

その言葉通り、彼の作品は細部まで計算しつくされた造形の上に、染付の藍色が、おしゃべりをするように踊っていて、見ているものを飽きさせない。

そして、作品を包む釉薬のなめらかな乳白の肌合いと、優しい手触りは、柔らかな絹織物のよう。

上質なエレガンスをまとった独自な作風は、洋の東西を問わず人の心を惹きつけるようだ。

自由で詩情豊かな柴田良三の世界を、心行くまでご堪能いただきたい。

 

 

<柴田良三略歴>

1978年 京都市立芸術大学陶磁器専攻科修了

1979年 出石磁器トリエンナーレ佳作賞

1997年 京都美術工芸展優秀賞

1999年 京都工芸美術作家協会京都府知事賞

2002年 染付公募展瀬戸染付奨励賞

2005年 文化庁海外派遣留学(アメリカ)

2008年 京都工芸ビエンナーレ招待出品 

2013年 オーストラリア展(キャンベラ)

2014年 「日本伝統工芸展」出品作が宮内庁の買い上げとなる。

<パブリック・コレクション>

京都市 / 兵庫県豊岡市立・伊藤清永美術館 / オーストラリア日本大使館 / 宮内庁

日本工芸会正会員 京都工芸美術作家協会理事 工芸京都同人

安田宏定 陶展

2017.03.04 更新

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優しい乳白色とダークグレーの掛け分けの素地に、オレンジやブルーなどの軽やかな色が躍る安田宏定氏の器。

甘すぎない大人の可愛さで若い方に人気の作家です。

安田氏が大切にしているのは「動き・流れ・リズム」。 乳白色の優しい色の上に置かれたさまざまな色は、ダンスをしているかのようです。

酒器をはじめ、テーブルを元気にしてくれる器がたくさん会場に参ります。

春の足音を聞きながら、新しい季節にふさわしい楽しい器を探してください。 きっとお気に入りが見つかると思います。

たくさんの方にご覧いただきたい京都の若手の展覧会です。ぜひ、ご高覧お願いいたします。

 

<陶歴> 祖父 安田全宏 師事

     小川宣之氏から薫陶を受ける

2012年 京都美術工芸ビエンナーレ入選

2016年 ドームやきものワールド2016

    新作器展 男前UTUWA部門

    ドームやきものワールド賞 受賞

藤信知子陶展『目ヲトジテミタマエ』

2017.03.04 更新

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藤信知子さんの作品は面白い。ユーモアと原始的な力に満ちたシャーマニズムのようなものを感じるのだ。

なぜ、あのような造形が生まれるのか不思議に思っていたら、本人から、祖父の死をきっかけに

非現実的な世界観、空想や妄想の世界といったものに関する作品を作りたいとの思いがあると聞いた。

そして作品を制作する中で、桃太郎など、昔の人達が空想した物語が今なお、語り継がれている事のすごさを感じているとのこと。

昔話の登場人物たちは藤信さんのこころのフィルターを通して、生き生きと動き出し、命がけでいたずらをして回る・・・

そんな気がする不思議な造形だ。

藤信さんは普段から「固定観念に縛られず、奇抜さ・面白さといったユーモアを大切にした楽しい作品」の制作を心がけているそうだが、

その作品は本当に自由で、楽しい。 藤信知子さんにしか作れない、不思議な世界を、ぜひ、お楽しみいただきたい。

<陶歴>

1988 大阪に生まれる

2010 京都精華大学芸術学部 素材表現学科陶芸専攻卒業

   個展「さらば 愛しき日々 もう戻れぬ」ギャラリーアンテナ/京都

2011  トーキョーワンダーウォール公募  立体・インスタレーション部門 入選/東京都現代美術館

2012 京都精華大学 大学院芸術研究科 博士前期課程陶芸専攻修了

   個展「花への挑戦状」 ギャラリー恵風/京都   京都美術・工芸ビエンナーレ2012 入選/京都文化博物館/京都

   他、グループ展 多数 

空女展 ~若き作家たちの挑戦~

2017.02.06 更新

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100年ほど前に世界を魅了した京薩摩という京焼がありました。

虫眼鏡を使わないと細部まで見えないような超絶技巧を凝らしたその作風は、

世界中をあっと驚かせたのですが、永く絶えておりました。

それを現代に復興させたのが空女先生で、先生の作られる作品はその華麗さと細密さ、

そして今を生きる陶芸家としてのセンスで高い評価を得ておられます。

先生には素晴らしい作品を制作される作家としての顔と、

その技術を陶の道を歩む若い作家たちに惜しみなく伝授される、優れた指導者としての二つの顔があります。

今回はその両方をご紹介できる展覧会として開催させていただきます。 

先生を慕う若き作家たちが日本中から集まり、それぞれの技を駆使した作品を披露してくれるのです。

 

「みんな違ってみんな良い…。」

 

と先生はおっしゃっておられました。

どんな煌めきが集まるのか…ぜひ、会場でご覧になっていただきたいと思います。

 

 

 

空女(小野多美枝)

<若手の出品作家9名>

見谷若葉、野上美映子、真砂皓志、竹内瑠璃、新川砂山、林大地、齋藤有希子、藤本友、高橋亜希

 

 

第49回青窯会作陶展

2017.01.02 更新

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 京都青窯会協同組合は昭和43年発足の、皇室の御寺「泉涌寺」の麓に集う窯元で構成された組合です。

この泉涌寺の近辺は、「焼きもの」とは古くから縁があり、太閤秀吉が大仏殿造営にあたり、この地に瓦窯を築かせたのが始まりで、多くの瓦窯が存在していました。

その後、五条坂から移り住んだ先人達が登り窯を築いて、この地に開窯したのが大正3年。一番多い時で14基もの登り窯が煙を上げていた、京焼の産地です。

 今も組合の拠点である「青窯会会館」を中心に、たくさんの窯元が制作に励んでいます。ここでは作品の展示はもちろんのこと、陶芸体験、工房見学など、幅広く京焼を味わう時間をお過ごしいただけます。  

 

今回で49回目となる青窯会展では、テーマを「茶器」として、組合所属の窯元が腕によりをかけて日頃の成果を競います。

煎茶器、抹茶盌などの伝統の器から、ティータイムを彩る素敵な日常の器まで、生活の中で楽しんで使っていただける京焼が展示即売されます。 是非、ご高覧いただき、器の持つ「手作りのやさしい温もり」を感じてください。

 

京陶人形 幸せを呼ぶ形 ~干支・酉~

2016.10.24 更新

京陶人形

京陶人形は京都で作られている素焼人形です。素焼人形は、粘土で形をこしらえ、乾燥させ、850℃くらいの低火度で焼成し、

顔料で彩色して仕上げたもので、全体が土という素材でありながら、やわらかなぬくもりを感じさせる深い味わいがあります。

人は太古の昔から、木や石や土など身近な材料で自分たちの似姿を作ってきました。

古墳時代には土で見事な土偶や埴輪を生み出し、やがて、型を使って多量に作られる時代になると、

安価で気取りのない庶民の愛玩用の人形として人々に親しまれてきました。京陶人形はこのような伝統と技術を受け継ぎながら、

その時代の流れ、風俗や好みを反映した形を追求して今日に至ったものだそうです。

かつては他の素材の人形とともに、京人形という総称の中に含まれていましたが、昭和32年に「京陶人形」と命名されました。

多品種、少量生産が主体なので、作られている形は多様です。子供たちのすこやかな成長を願う雛人形や五月の節句もの、

歴史をたどる時代風俗、特に王朝文化を題材にした優雅な時代もの、御所人形をはじめ幼児の愛らしさで表現する童子もの、

歳守の干支などの動物もの、素材そのものを活かした素朴なもの、抽象的でモダンなもの、また独自の技法で作られている土鈴は、

音色、形、彩色ともに豊かで人気があります。

京陶人形工芸協同組合の方々は、「これからも、人々の心をなごませる人形や、時代と向きあったユニークな人形を生みだしたい」と

日々、製作に励んでおられます。

皆様の新春に、あなただけの「幸せを呼ぶ形」を選んでいただければ幸いです。