柴田良三染付展 「藍の風」

2017.04.02 更新

1

柴田良三氏の作品には、いつも爽やかな藍色の風が吹いている。

染物屋に生を受けた柴田氏は「焼きもので染物をしている」と笑う。

その言葉通り、彼の作品は細部まで計算しつくされた造形の上に、染付の藍色が、おしゃべりをするように踊っていて、見ているものを飽きさせない。

そして、作品を包む釉薬のなめらかな乳白の肌合いと、優しい手触りは、柔らかな絹織物のよう。

上質なエレガンスをまとった独自な作風は、洋の東西を問わず人の心を惹きつけるようだ。

自由で詩情豊かな柴田良三の世界を、心行くまでご堪能いただきたい。

 

 

<柴田良三略歴>

1978年 京都市立芸術大学陶磁器専攻科修了

1979年 出石磁器トリエンナーレ佳作賞

1997年 京都美術工芸展優秀賞

1999年 京都工芸美術作家協会京都府知事賞

2002年 染付公募展瀬戸染付奨励賞

2005年 文化庁海外派遣留学(アメリカ)

2008年 京都工芸ビエンナーレ招待出品 

2013年 オーストラリア展(キャンベラ)

2014年 「日本伝統工芸展」出品作が宮内庁の買い上げとなる。

<パブリック・コレクション>

京都市 / 兵庫県豊岡市立・伊藤清永美術館 / オーストラリア日本大使館 / 宮内庁

日本工芸会正会員 京都工芸美術作家協会理事 工芸京都同人

安田宏定 陶展

2017.03.04 更新

1

優しい乳白色とダークグレーの掛け分けの素地に、オレンジやブルーなどの軽やかな色が躍る安田宏定氏の器。

甘すぎない大人の可愛さで若い方に人気の作家です。

安田氏が大切にしているのは「動き・流れ・リズム」。 乳白色の優しい色の上に置かれたさまざまな色は、ダンスをしているかのようです。

酒器をはじめ、テーブルを元気にしてくれる器がたくさん会場に参ります。

春の足音を聞きながら、新しい季節にふさわしい楽しい器を探してください。 きっとお気に入りが見つかると思います。

たくさんの方にご覧いただきたい京都の若手の展覧会です。ぜひ、ご高覧お願いいたします。

 

<陶歴> 祖父 安田全宏 師事

     小川宣之氏から薫陶を受ける

2012年 京都美術工芸ビエンナーレ入選

2016年 ドームやきものワールド2016

    新作器展 男前UTUWA部門

    ドームやきものワールド賞 受賞

藤信知子陶展『目ヲトジテミタマエ』

2017.03.04 更新

1

藤信知子さんの作品は面白い。ユーモアと原始的な力に満ちたシャーマニズムのようなものを感じるのだ。

なぜ、あのような造形が生まれるのか不思議に思っていたら、本人から、祖父の死をきっかけに

非現実的な世界観、空想や妄想の世界といったものに関する作品を作りたいとの思いがあると聞いた。

そして作品を制作する中で、桃太郎など、昔の人達が空想した物語が今なお、語り継がれている事のすごさを感じているとのこと。

昔話の登場人物たちは藤信さんのこころのフィルターを通して、生き生きと動き出し、命がけでいたずらをして回る・・・

そんな気がする不思議な造形だ。

藤信さんは普段から「固定観念に縛られず、奇抜さ・面白さといったユーモアを大切にした楽しい作品」の制作を心がけているそうだが、

その作品は本当に自由で、楽しい。 藤信知子さんにしか作れない、不思議な世界を、ぜひ、お楽しみいただきたい。

<陶歴>

1988 大阪に生まれる

2010 京都精華大学芸術学部 素材表現学科陶芸専攻卒業

   個展「さらば 愛しき日々 もう戻れぬ」ギャラリーアンテナ/京都

2011  トーキョーワンダーウォール公募  立体・インスタレーション部門 入選/東京都現代美術館

2012 京都精華大学 大学院芸術研究科 博士前期課程陶芸専攻修了

   個展「花への挑戦状」 ギャラリー恵風/京都   京都美術・工芸ビエンナーレ2012 入選/京都文化博物館/京都

   他、グループ展 多数 

空女展 ~若き作家たちの挑戦~

2017.02.06 更新

1

100年ほど前に世界を魅了した京薩摩という京焼がありました。

虫眼鏡を使わないと細部まで見えないような超絶技巧を凝らしたその作風は、

世界中をあっと驚かせたのですが、永く絶えておりました。

それを現代に復興させたのが空女先生で、先生の作られる作品はその華麗さと細密さ、

そして今を生きる陶芸家としてのセンスで高い評価を得ておられます。

先生には素晴らしい作品を制作される作家としての顔と、

その技術を陶の道を歩む若い作家たちに惜しみなく伝授される、優れた指導者としての二つの顔があります。

今回はその両方をご紹介できる展覧会として開催させていただきます。 

先生を慕う若き作家たちが日本中から集まり、それぞれの技を駆使した作品を披露してくれるのです。

 

「みんな違ってみんな良い…。」

 

と先生はおっしゃっておられました。

どんな煌めきが集まるのか…ぜひ、会場でご覧になっていただきたいと思います。

 

 

 

空女(小野多美枝)

<若手の出品作家9名>

見谷若葉、野上美映子、真砂皓志、竹内瑠璃、新川砂山、林大地、齋藤有希子、藤本友、高橋亜希

 

 

第49回青窯会作陶展

2017.01.02 更新

1

 京都青窯会協同組合は昭和43年発足の、皇室の御寺「泉涌寺」の麓に集う窯元で構成された組合です。

この泉涌寺の近辺は、「焼きもの」とは古くから縁があり、太閤秀吉が大仏殿造営にあたり、この地に瓦窯を築かせたのが始まりで、多くの瓦窯が存在していました。

その後、五条坂から移り住んだ先人達が登り窯を築いて、この地に開窯したのが大正3年。一番多い時で14基もの登り窯が煙を上げていた、京焼の産地です。

 今も組合の拠点である「青窯会会館」を中心に、たくさんの窯元が制作に励んでいます。ここでは作品の展示はもちろんのこと、陶芸体験、工房見学など、幅広く京焼を味わう時間をお過ごしいただけます。  

 

今回で49回目となる青窯会展では、テーマを「茶器」として、組合所属の窯元が腕によりをかけて日頃の成果を競います。

煎茶器、抹茶盌などの伝統の器から、ティータイムを彩る素敵な日常の器まで、生活の中で楽しんで使っていただける京焼が展示即売されます。 是非、ご高覧いただき、器の持つ「手作りのやさしい温もり」を感じてください。

 

京陶人形 幸せを呼ぶ形 ~干支・酉~

2016.10.24 更新

京陶人形

京陶人形は京都で作られている素焼人形です。素焼人形は、粘土で形をこしらえ、乾燥させ、850℃くらいの低火度で焼成し、

顔料で彩色して仕上げたもので、全体が土という素材でありながら、やわらかなぬくもりを感じさせる深い味わいがあります。

人は太古の昔から、木や石や土など身近な材料で自分たちの似姿を作ってきました。

古墳時代には土で見事な土偶や埴輪を生み出し、やがて、型を使って多量に作られる時代になると、

安価で気取りのない庶民の愛玩用の人形として人々に親しまれてきました。京陶人形はこのような伝統と技術を受け継ぎながら、

その時代の流れ、風俗や好みを反映した形を追求して今日に至ったものだそうです。

かつては他の素材の人形とともに、京人形という総称の中に含まれていましたが、昭和32年に「京陶人形」と命名されました。

多品種、少量生産が主体なので、作られている形は多様です。子供たちのすこやかな成長を願う雛人形や五月の節句もの、

歴史をたどる時代風俗、特に王朝文化を題材にした優雅な時代もの、御所人形をはじめ幼児の愛らしさで表現する童子もの、

歳守の干支などの動物もの、素材そのものを活かした素朴なもの、抽象的でモダンなもの、また独自の技法で作られている土鈴は、

音色、形、彩色ともに豊かで人気があります。

京陶人形工芸協同組合の方々は、「これからも、人々の心をなごませる人形や、時代と向きあったユニークな人形を生みだしたい」と

日々、製作に励んでおられます。

皆様の新春に、あなただけの「幸せを呼ぶ形」を選んでいただければ幸いです。

 

守崎正洋 陶展

2016.10.23 更新

morisaki

多種多様な釉薬によって彩られた、きれいで、日常に使いたくなる器…それが守崎正洋氏の作品です。

鮮やかな紅紫の辰砂、さわやかな水色の鈞窯、多様な天目系の釉薬はそれぞれ黒さが違います。

守崎氏の多様なカラーバリエーションといろいろな形の器は、補充してもすぐに売り切れになる会館でも人気の作品です。

そんな作品をいつも以上にずらりと並べてみていただける展覧会は、楽しい企画となることでしょう。

たくさんの中からお気に入りを見つけていただくチャンスです。皆様のご来場をお待ちしております。

 

 

 

<守崎正洋 陶歴>

1971年10月19日 京都市生まれ

1999年 京都伝統工芸専門校(現在 大学校)陶芸本科修了 
1999年 以後二年間、大覚寺陶房にて和泉良法氏に師事 
2002年 (株)たち吉主催『京都陶芸の新しい芽』入選 
2003年 京都市工業試験場陶磁器コース専修科修了 
2003年 京都、嵯峨野にて開窯 独立 
2004年 伝統産業「京の若手職人」海外(イタリア)派遣事業に選出 
2006年 2006『めし碗グランプリ展』入選 
2008年 第26回『朝日現代クラフト展』入選 
2012年 第10回『ローディ陶器コンクール』(イタリア)入賞  

〒616‐8314 
京都府京都市右京区嵯峨野秋街道町16-22 

TEL&FAX:075-872-3543(工房)

 

わん・碗・ONE展~次代を担う若者の作品展~

2016.10.07 更新

2015

わん・碗・ONE展~次代を担う若者の作品展~

「わん・碗・ONE展」は五条坂・茶わん坂周辺の陶磁器関係者が一つになって地域活性化を目的に開催されており、

ここ京都陶磁器会館はそれに協賛・参加し「わん・碗・ONE展~次代を担う若者の作品展~」を開催しています。

この展覧会は京都の8つの学校・教育機関である京都嵯峨芸術大学・京都市産業技術研究所・京都市立芸術大学・京都精華大学・

京都造形芸術大学・京都伝統工芸大学校・京都美術工芸大学・京都府立陶工高等技術専門校の生徒さんが参加される展覧会です。

 

本年で5回目を迎える、本展覧会です。若手の力あふれる作品を御覧ください。

紅村展 ~伝統と次代への挑戦

2016.10.07 更新

林 紅村

紅村展 ~伝統と次代への挑戦

長い歴史を持つ清水焼の伝統の中で、紅村窯は100年以上続く窯元です。

大正時代初期より二代林 円山(えんざん)氏が清水のちゃわん坂(清水新道)で制作を始め、青磁を主として貿易関係など戦前大きく事業を行いました。

戦後円山(えんざん)氏は紅村と改名、現在の紅村窯を代表する白磁、青磁を開発、その子息三代 紅村(林克行氏)がその技術を継承し、

四代目となる林侑子氏とともに三代にわたって培われた伝統技法と格調を研磨しつつ、その美しさの中に新しい息吹を盛り込んだ作品を制作しておられます。

 紅村窯の西施白磁と名付けられた白磁は、中国の古窯で作られた白高麗(白磁)から発展したなめらかな乳白色が印象的です。

ロクロ成形に至難の技を必要とするそうで、西施洗練された形と、東洋美人の肌を連想する白玉の様な釉調から相まって、

まさしく中国の代表的な美女 西施 からの命名がふさわしい作品です。

 また、青磁の作品も、中国の宋時代、豊穣な成熟を示した青磁を古来の製法を躇襲しながら優雅で独自の深い色調を持った青磁で、

高貴で格調高い作品となっています。

 今回は三代紅村(克行氏)、四代紅村(侑子氏)の二人展として、受け継がれてきた清水焼の、美しい伝統をご覧いただこうと企画いたしました。

三代の洗練されたシャープなラインと四代の可愛らしさとのコラボレーション、そして新しい作品への挑戦をお楽しみいただけると幸いです。

 

 

三代紅村 林 克行

1940年 京都市に生まれる

京都芸術大学 彫刻科卒

丸善にて林紅村父子展

(日本橋、大阪をはじめ各地の支店)

新宿京王百貨店 新宿紀伊国屋 

銀座永井画廊 神戸三越

新宿ギャラリー巴堂銀座ギャラリー江 

JR大阪三越伊勢丹ぐい呑みコレクション展   

四代紅村 林 侑子

1981年 林克行の長女としてうまれる

2004年 京都府立陶工技術専門校成形科卒

2005年 同校 研究科卒

2006年 京都市産業技術研究所

陶磁器本科卒業

2006年 父・林紅村に師事

2008年 Art&Crafts 紅村にて初個展

大丸京都店や高島屋京都店などで二人展やグループ展に参加

2012年 紅村studio『Arche』アルシェをオープン

2014年 春の展示会で林侑子として初のうつわブランド『yu’s style』を発表

アルシェでの『こどもとうげいくらぶ』始動

会期11月25日(金)~12月7日(水) 木曜日休館日 午前10時~午後6時まで

森本真二 陶展 -茶盌と酒盃と-

2016.10.01 更新

IMG_6534

織部は普通、緑色ですが、それを再度、窯の火をくぐらせて赤く染め上げた赤織部。

そして油滴天目を追い求める中で生まれた、深い深い漆黒の黒天目。

宋永窯 森本真二が編み出した赤織部と黒天目が綾なす

「茶盌と酒器」の世界を、深まりゆく秋の気配とともにお楽しみください。