荒賀文成・前田麻美 二人展

2017.02.15 更新

1

石清水八幡宮を仰ぐ山の脇道を進むと、その山すそに工房はあります。

都会の喧騒を隔てた静寂の中、うつわ作家として毎日ろくろと向き合っておられます。

窯から焼きあがった器は、それが何年も前からそこにあったような雰囲気をかもし出し、設えに溶け込むのです。

 

荒賀さんのうつわは、ろくろで土と会話をしているように、のびやかで、命をはらんだようにふっくらと愛おしい形をしています。

柔らかい光をまとったような粉引きを中心に、温かい肌合いの焼しめ、黒釉も素敵です。

前田さんのうつわは、レースのように細やかな模様が女性らしい、落ち着いた華やかさをたたえています。

どれも使う人の心地よさを一番に思って作られたうつわです。

 

人々のくらしのために作られたおふたりのうつわを、ぜひお手に取ってご覧ください。

太田夏紀 陶展 ー種の子ー

2017.02.06 更新

1

不思議な生命感のある造形・・・太田夏紀の作品は、表情豊かな動物たちが、それぞれ主張し合って世界を形成している。

どれもかわいいだけでない、シニカルな言葉を持って動き出すようだ。

カメレオン、カエル、スズメ、ランチュウ・・・今までの作品は実在の生物が太田風にアレンジされた

「松ぼっくりの雀」だったり、「歌うような鶏」や「神のようなナマケモノ」だった。

 

ところが今回の展覧会ではそこから一歩進んだ、見たことのない不思議な生物たちが登場する。

生物の奥底に潜んでいる、命の不可思議が、太田の手を通って地上に現れたような造形である。

かわいく、不気味で、得体のしれない新しい生き物たち。彼らはなにを想い、どこへ進んでいくのだろうか。

ますます太田の作品から目が離せない。

京都陶磁器会館2階ギャラリーが、太田夏紀の世界となる2週間・・・。是非、あなたの目で、不思議な命の世界をご覧ください。

 

 

 

 

太田夏紀(おおた なつき)

1993年  大阪府生まれ

2016年  京都精華大学 芸術学部素材表現学科 陶芸コース  卒業

2016年  京都精華大学 大学院 芸術研究科 陶芸専攻  入学

 

2015  「京都同時代学生陶芸展」元・立誠小学校/京都

2015年「わん・碗・ONE展」京都陶磁器会館/京都

2016年「合同個展」The Terminal KYOTO/京都

2016年「精華-ESSENCE-」BAMIgallery/京都

2016年「手のひらアート 動物園」岡山天満屋 COMBINEoffice/岡山

2016年「STEP/STROKE」ギャラリー恵風/京都

2016年「陶芸tomorrow 6芸大 若手の饗宴」ギャラリーマロニエ/京都

2016年「太田夏紀 個展 『息物』」BAMIgallery/京都

2016年「2017年 干支『酉達の集い』」あべのハルカス近鉄本店/大阪

2016年「-コンポラサーカス-京都若手現代美術作家展vol.2」京阪百貨店 守口店/大阪

 

 

受賞歴

2014年「わん・碗・ONE展」10位入賞 /京都陶磁器会館

2015年「京都花鳥館賞」優秀賞 /京都花鳥館

陳韋竹「夢獣」

2017.01.09 更新

1

陳韋竹さんは動物や日本の玩具が好きで、強く影響を受けました。

そんな彼女の作品からは、おもちゃのような可愛らしさと、生き生きとした感情があふれ出てきます。

陳さんの作品は彼女自身の心の中に存在する空想の生き物ですが、

それらはまるで実際に存在するかのようで…幼いころに遊んだ記憶を思い出して欲しい…と観ている人へ語りかけます。

作品はすべて日本滞在中に制作されたもので「日本で彼女が感じたこと」が表現されています。

日本の土で焼き上げられた陳さんの動物たち。日本で陳さんが感じたことを、作品を通して感じていただければと思います。

 

 

 

<陳韋竹 略歴>

1987 台湾に生まれる

2013 アジア現代陶芸展 金沢21世紀美術館 愛知県陶磁美術館

2014 臺澳陶藝交流展 文化歴程 国立台湾芸術大学 澳門大学 台湾 香港 

2015 国立台湾芸術大学 工芸設計学系研究所 陶芸科 卒業

   信楽陶芸の森アートレジデンス滞在制作

   虚疑動物的奇幻世界 桃園展演中心 台湾

   アジア現代陶芸展 杭州 中國美術學院美術館 中國

第2回新北市陶藝奬「陶藝創新奬―創作組」入選

第7回台湾金陶奬「社會組」 審査特別奬‐作品典蔵

2016 夢の中の動物 藤喜陶苑 信楽

   「よいの形」展 ギャラリーヴォイス 多治見

   台湾国際陶藝雙年展 入選

小野あや陶展

2017.01.07 更新

1

 マグカップは取手が犬の形をしていたり、お星さまやお花の形の重ね鉢だったり…

小野あやさんの作品はくらしをそっと見守ってくれるような優しさにあふれています。

テーブルに置いたら、素敵な誰かとの会話が始まりそうな、ありふれた日常をそっと支えて、楽しくしてくれる器です。

あなたのお気に入りを見つけに来てください。

 

 

1981年京都生まれ

2002年京都嵯峨芸術大学短期大学部陶芸コース卒業

2006年京都府立陶工高等技術専門校成形科修了

京都清水焼窯元嘉豊陶苑にて四年間就業

2011年京都市産業技術研究所技術者研修陶磁器コース修了

2012年京都市産業技術研究所技術者研修陶磁器応用コース修了

2013年京都市下京区にて開窯

山内 駿 陶展 -銀刻-

2016.11.26 更新

山内駿

山内 駿 陶展 銀刻       

「銀刻彩」とは、山内駿氏が編み出した技法で、黒い陶器の上に銀を焼き付けた後、機械で銀を削り装飾するというものです。

美術館に展示されていた金属器の、年月を経て風化した表面の雰囲気に心動かされ、陶器でもこんな表現が出来ないかと模索した結果、辿り着いた技法がこれでした。

「機械を使い装飾する事は今の時代にしか出来ない表現であり、銀を削り陶の表面を出し陶器と金属を融合させる事は、

陶器だからこそ出せる金属の新たな表情」と言う、山内氏。 本来なら何百年も時が経ち風化していく表面を、機械の削りにより風化を刻んでいく、

時を刻むようなイメージで作品の表面を削っているそうです。

スタイリッシュでシャープな作品ですが、その中に込められた優しさが、見る人の心をひきつけます。

銀の冷たさの中に宿る手技の温もりや山内氏独特のユニークな形・・・これからが楽しみな若手作家です。

是非、ご高覧ください。

 

 

<陶歴>

1984年 京都で生まれ、宮城で育つ

2006年 京都伝統工芸専門学校 専攻科 卒業

猪飼祐一氏に師事

2009年 京都・東山にて独立

<展覧会>

2010年 ARTZONE(京都)

2011年 藤崎(仙台)[2013、15年]

2013年 米子髙島屋(鳥取)[2016年]

2015年 アートサロンくら(京都)

2016年 晩翠画廊(仙台)

ICFF出展(ニューヨーク)

 ギャラリーみちかけ(京都)

<公募展>

2008年 日本伝統工芸近畿展 入選[09〜12、14〜16年]

2012年 京都府美術工芸新鋭展-2012京都美術・工芸ビエンナーレ- 招待出品

河北工芸展 秋田県知事賞 受賞

2014年 河北工芸展 入選

2016年 日本伝統工芸展 入選

 

 

黒田赫三郎窯展‐京焼の世界で50年を迎えて‐

2016.10.07 更新

黒田赫三郎

黒田赫三郎窯展‐京焼の世界で50年を迎えて‐         

赫三郎(本名、黒田三郎氏)氏はこの道に入って50年。

今なお、新しい作品、色合いに挑戦し続ける。

目につくのは鮮やかな色。特に誰にも真似できない、温かみのある夕焼けに近い赤。

そこに可愛らしいウサギや花が描かれる。優しいブルーの染付もある。画家の経験があったからこそ、

現在、陶器の絵付けや色合いの美しさが生かされるのだろう。

また、大胆な赤と金に彩られた作品も目を引く。豊かな人生に実った、果実のような作品たちである。

陶器は命をつかさどる食事に使われるもの。だから赫三郎氏が求めるものは、美しさはもちろんのこと、

毎日が使い心地よく、触感も満足するもの。そのため、作品には細部まで気を配られている。

例えば、コーヒーカップは親指がフィットしやすいよう少しの窪みがあり、

また人差し指と中指が入りやすく、すべりにくい工夫がされている。

伝統は踏襲し、でもオリジナリティを出していかなければならない。「常に勉強です。」と赫三郎氏は語る。

赫三郎氏の歩いてこられた50年。その一(ひと)滴(しずく)のような展覧会を是非、ご高覧ください。

<赫三郎窯 黒田三郎 陶歴>

1942   大阪市に生まれる。

     大阪市立美術研究所 2年 

洋画の基礎を学ぶ。中村孫四郎先生(洋画 国画会会員)に師事。

京都市立工芸指導所 1年 

京焼の基礎を学ぶ。3世伊東陶山先生(粟田焼 日展理事)に師事。

1967    五条坂に「赫三郎窯」開窯。

1970   宇治市炭山に移転 築窯。

      この間、京焼窯元として「赤絵陶器」「染付陶器」を中心にヒットデザインを制作し続ける。

1984   瑞穂町に移転、築窯 、個展多数。

2000   阪神百貨店画廊をメインに、松坂屋百貨店などで10年連続 個展開催。

      日本橋三越本店でも作陶展を開催。

2008   京丹後市大宮町に移転、築窯。

       現在にいたる。

「丹後  茶話会」主催

 

赫三郎窯 〒629-2511 京丹後市大宮町久住970

      Tel,Fax 0772-68-0492

 E-mail kakusaburohgama@plum.plala.or.jp

森里陶楽 「黄昏時と優美な器」展 

2016.09.16 更新

森里陶楽

森里陶楽 「黄昏時と優美な器」展  

 

三代目陶楽・秀夫氏は、京文化で表す「はんなり」した表現を追求する中、優美で艶やかな物を求めて繊細で緻密な技法を表現する「紫三島」「紫彩華紋」を生み出されました。 現在も、「土に華を咲かせ、心に華を咲かせる陶芸術」を作陶の心掛けとし、陶土に花の刻印を施し白い花を咲かせ、器を使っていただいた方の心にも花が咲くようにと、作陶に励んでおられます。

展覧会場では食空間コーディネイター湯浅靖代氏のテーブルコーディネイトにより、黄昏時の素敵なパーティーセッティングもご覧いただけ、見るだけでなく、使う提案もさせていただきます。初秋の京都にふさわしい、はんなりとした京焼をお楽しみください。

 

<三代目陶楽 森里秀夫 陶歴>

1959年 京都に生まれる

1977年  京都市日吉が丘高校美術コース日本画卒業

1981年 京都府陶工高等専門学校卒業

同年、手塚玉堂に師事

二代目陶楽の元で作陶を始める

工学博士山本徳治氏の釉薬研究所「美泥塾」に入塾する

1996年 三代目陶楽を襲名

京焼・清水焼伝統工芸士の称号を受ける

全国伝統工芸品展にて日本商工会議所会頭賞を受ける

日本橋高島屋をはじめ全国各地で個展を開催

 

<森里陶楽>〒607-8465 京都府京都市山科区上花山坂尻20−4

電話番号075-591-1661

http://tourakutouen.com/

王地山陶器所 復興、そして未来へ

2016.09.13 更新

IMG_6568

丹波陶磁について

丹波という地の風土を感じながら日々製作している陶工の共同体。やきものとしての伝統や窯業地のカテゴリーにとらわれない自由な「器」作りを基本とし、作者の個性という付加価値ではなく、器づくりを通じて工芸のなかに持つ機能性を「丹波陶磁」という名のもとに、より深め、アーティスティックな作業へと昇華させたいと思っています。

 

京都陶磁器会館2Fギャラリーで紹介させていただく王地山陶器所

王地山焼は、江戸時代中ごろの文化文政期(1804~30)、当時の篠山藩主であった青山忠裕(あおやまただやす)がこの王地山の地に築いた藩窯です。  三田藩で青磁焼成に成功した京都の名工、欽古堂亀祐(きんこどうかめすけ)を招いて指導させました。

製品は、青磁・染付・赤絵などの中国風の磁器を模したものが多く、手彫りの土型で素地を型押し成形するなど、繊細かつ高度な技術をもって作られていました。

当時、大名たちの間では、茶器を焼く藩窯を持つことが流行していました。また藩主の社交

や藩内の産業育成などが開窯の背景であったと考えられています。篠山藩や地元の豪商などの

保護もあり嘉永年間(1848~54)の最盛期には幾多の気品ある作品が焼かれていました。が、

明治2年(1869)廃藩置県を目前にして廃窯の運命となりました。

 

現在の王地山陶器所は、廃窯から100年以上の時を経た昭和63年(1988)に、同じ王地山の麓に復興されました。 独特の緑色の青磁、染付、赤絵などの作品を当時の技法を使って製作しています。併設された展示室での展示・販売のほか、百貨店やギャラリーでの作品展も行っています。

 

いまは竹内保史氏と児玉玲央奈氏の二人が陶工として働いています。(写真の作品は竹内保史氏の作品です。)

 

丹波といえば立杭の「丹波焼」土味の作風を思い浮かべますが、王地山陶器所の作品は作風も京焼の技法に近いので、昔から京都との関わりが深かったと考えます。今回、丹波の作品を紹介してくれた加古勝己氏(泉涌寺出身)自身も、京都から丹波に移り住んで、陶芸家として篠山のアートフェスティバルなどに関わっておられます。

 

京都陶磁器会館での展覧会で、篠山のやきものを広く知っていただけるきっかけとなり、また作り手同士の交流ができれば、嬉しいことだと思います。

 

 

<参考ホームページ>

王地山陶器所http://www.withsasayama.jp/ojiyama/index.htm

丹波篠山アートフェスティバルhttp://sasayama-art.com/index.htm

丹波陶磁http://tambatohji.jimdo.com

西條淳子 陶絵展

2016.07.15 更新

西條淳子B

大正初期から100余年、茶道具や割烹食器を手がける名門 澤村陶哉工房で、30年ちかくも制作をつづける西條淳子氏は、高度な技と経験が必要とされる京焼の絵の具を巧みに使いこなし、活き活きとした、たおやかな自然を描き出す絵師です。

丹念に描きこまれた草花は、単に形を精密に写し取ったものではなく、確かで繊細な描写により、生命が持つ独特の気配さえ感じさせます。写真に紹介した作品は、西條家の秋の庭の風景ですが、日々スケッチを重ねてこられた、生きた筆致が、作品の上で微笑んでいるように思えます。

また、彼女の作品にある余白は、我々を想像の世界へと誘(いざな)います。陶作品というよりは、一幅の絵画を眺めているような西條氏の作品。いつか見た風景がそこにはあり、自分の記憶と相まって合って、懐かしさの残る濃密な時間を生み出すのです。

「ふと立ちどまって、手にとってみたくなるような作品をつくりたい」と語る西條氏。彼女の思いが込められた作品に、自分の生きてきた時間を重ねて楽しんでみられてはいかがでしょうか。

是非、ゆっくりとご覧いただきたい作品展です。

 

西條淳子略歴

京都精華大学美術学部デザイン科卒

京都府立陶工高等技術専門校 図案科卒

二代目澤村陶哉氏に師事

三代目澤村陶哉工房にて絵付けに従事

 

会期:2016年7月15日(金)~27日(水)

時間:9:30~17:00 (木曜日定休)

会場:京都陶磁器会館1Fギャラリー

 

晋六窯 展  お茶時の器

2016.05.27 更新

shinnrokugama

晋六窯 展  お茶時の器

 

 

晋六窯さんといえば、ペリカン急須。

初めてこの急須を見たとき、よちよち歩くペリカンを想像して思わずにっこりしてしまいました。

しかし、この急須、使ってみて再びにっこり。

お茶の切れもよく、持ちやすい。そして二煎目のお湯をつぐときに蓋を取らなくても良い便利さ。

今回そのペリカン急須が、オシャレに進化して素敵なお茶時の器になりました。

シンプルで新しい、今の生活に生きる「京焼」です。

新しいペリカン急須に会いに来てください。

 

 

会期:2016年5月27日(金) ~  6月1日(水)

会場:京都陶磁器会館1階展示場

時間:AM9:30 ~ PM5:00