森里さんは染付の花と、奥深い色調の釉薬との調和が美しい器を制作されています。その作風に最近新たな技法が加わりました。
それは撥水剤で釉薬をはじくことで文様を描く技法で、器の外側に施されるものです。
描かれた文様は表面張力で立体的になり、その質感は、皮に漆を施す「印伝」に似た魅力があります。
この技法は、染付とは関係の無いように思いますが、撥水剤で文様を描く工程には、染付で祥瑞を描いていた経験が活きているそうです。
本展では、この新技法のシリーズをメインに食器・酒器・茶道具などを展覧いたします。
魅力的なお仕事を、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。
〈 森里龍生 陶歴 〉
1963 森里忠男(走泥社)の長男として生まれる。
1984 京都府立陶工専門校 成形科修了
1985 専攻科修了
日展会員 故加藤巌先生に師事 染付磁器を作陶
1993 龍紘窯を命名
以降個展、グループ展を中心に活動
2003 土と石[+][-] 森里龍生展[個展]
京都高島屋美術部 美術工芸サロン‘06‘08‘11‘13年開催
2004 森里龍生作陶展
ギャラリー杉・秋田
2007 染付 森里龍生展
ぎゃらりいおくむら・東京
2015 森里龍生作陶展
京都高島屋美術部 美術工芸サロン‘17開催
「黒彩小紋椿水指」
「黒彩小紋椿抹茶盌」2017年
今年も本会館が色絵一色に染まります。毎年好評の「京都色絵陶芸展」を開催いたします。
1階会場は、審査により選ばれた作品展示と、人気の立命館茶道部による呈茶席を設けます。
ここでは自分の好きな抹茶盌を選んで、その盌で抹茶をお召し上がりいただけます。
2階会場は、「酒器」をテーマに各々が趣向を凝らした逸品が並びます。
ちょうど東山も錦に色付くころ、色絵の錦に包まれてはいかがでしょうか。
<京都色絵陶芸協同組合の歩み>
1945年 高度な色絵技術、幅広いデザインを要求される中、組合発足
1958年 第1回上絵陶芸展を京都府ギャラリーにて開催
1960年 この年より陶芸展をコンクール形式で開催
技術、デザインを競い合い、レベルの向上を図る展覧会として今日まで継承されている
1995年 組合創立50周年記念「上絵陶芸展」を京都府文化博物館にて開催
これを機に技能者グループ・色絵デザイナーとして
「京のやきもの色絵の創造展」を全国のデパートにて開催
2011年 「京都色絵陶芸展」をこの年より京都陶磁器会館にて開催
呈茶席や和菓子とのコラボなど、新しい趣向を凝らした取り組みを開始
2015年 創立70周年を迎え、新たな色絵の世界を創造するべく、組合員一同研鑽をつんで今に至る
主催 一般財団法人京都陶磁器協会 京都色絵陶芸協同組合
後援 京都府 京都市 京都商工会議所 京都新聞
京都陶磁器協同組合連合会 京都陶磁器卸商業協同組合
協力 立命館大学茶道研究部
大谷園茶舗
京都きものパスポート2017~2018 協賛事業
「わん・碗・ONE展」は五条坂・茶わん坂周辺の陶磁器関係者が一つになって地域活性化を目的に開催されており、
ここ京都陶磁器会館はそれに協賛・参加し「わん・碗・ONE展~次代を担う若者の作品展~」を開催しています。
この展覧会は京都の8つの学校・教育機関である京都嵯峨芸術大学・京都市産業技術研究所・京都市立芸術大学・京都精華大学・京都造形芸術大学・京都伝統工芸大学校・京都美術工芸大学・京都府立陶工高等技術専門校の生徒さんが参加される展覧会です。
本年で6回目を迎える、本展覧会です。若手の力あふれる作品を御覧ください。
「研ぎ澄まされた」、ろくろで挽いた形からカンナなどで削り出され研ぎあげられた造形は、まさにそう形容されるべき逸品である。
五嶋竜也は生まれ故郷である熊本の磁土、「天草陶石」を用いた白磁や青白磁の作家である。ろくろ成形や削り出しの作業は立体的な作業であるが、実は表面的な仕事になってしまう傾向を孕んでいる。「作陶の中で最も重要視しているのは造形で、表面的な仕事にならないように心掛けている。」と彼は語る。
本展では削り出しによる白磁香炉をはじめ、鉢や花入れ、茶道具に日常つかいの器まで、様々な作品を展覧いたします。
彼の探求する秀麗なる造形と、天草陶石の美しい肌合いの競演をお楽しみ下さい。
〈 五嶋竜也 陶歴 〉
1980 熊本県に生まれる
2001 佐賀県立有田窯業大学校卒業
現在地にて独立
2005 西日本陶芸展入選
2007 第53回日本伝統工芸展入選
(以降、第56・57・61・62・
63回入選
西部伝統工芸展入選
第2回菊池ビエンナーレ入選
2009 西部伝統工芸展
鶴屋百貨店賞受賞
2015 西部伝統工芸展
奨励賞受賞
日本伝統工芸会正会員に認定
張義明さんはとっても明るくて楽しい方です。そしてとってもおしゃべりが上手。
彼の周りにはいつも楽しい人の輪ができます。 彼は「命」をテーマに作陶をしておられますが、彼の作品もそのお人柄が反映していて、明るくて、とっても快活。
楽しいおしゃべりが聞こえそうな作品です。 今回は「天空」をテーマに、カラフルな色と躍動する形が素敵なオブジェが並びます。
「国境のない空を自由に吹きぬける風・照らす光のように、言葉・文化の垣根を越えた五感で、大地の土から生まれた陶の静寂の中にある生命の息づかいを感じて頂きたい。」
と作品への思いを語られる張さん。
台湾と日本を自由に飛び回る、国際的な活躍を現在もされていますが、これからももっと大きな人の輪を作って、世界の人々に楽しい希望を振りまいていただきたいと思います。
張 義明
1967 台湾 台北に生まれる
2001 和歌山大学大学院美術教育陶芸専攻修了
2006 大阪工芸展クラフト部門受賞(大阪) 個展 新北市鶯歌陶瓷博物館(台湾)
2007 個展 国立台北芸術大学關渡美術館(台湾)
2009 日本陶芸展入選(東京) 神戸ビエンナーレ現代陶芸展奨励賞受賞(神戸)
2012 京展 市長賞受賞(京都) 2014 現在形の陶芸萩大賞入選(以前より複数回)(山口)
2016 台日藝術交流展(台湾・台北 長流美術館) 第5回都美セレクショングループ展
東京都美術館(東京)
2017 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞受賞(京都) 収蔵
新北市立鶯歌陶瓷博物館(台湾) 京都工芸美術作家協会 創工会 会員
白をベースにカラフルな色が躍るひろすえの作品。小鳥、雲限りなく透明なブルーやエメラルドの色…
少女が持つ不思議の世界がそのまま具現化したように思う作品だ。
今回の新作も、私には深い森の中に迷い込んで見つけた、秘密の場所にいる鳥に見えた。
ひろすえの作品を見ると、まるでシンデレラが魔法使いから幸せをもらうような心の底にある懐かしいときめきを思い出す。
でも、ひろすえたかこが作品作りで考えているのは、宇宙との繋がりや法則。
なぜ回るのだとか、なぜ丸いのだとか考えると、地球の自転や惑星の軌道も回っていて、回るとは効率がいいのかなとか考えたり、
粒々の釉薬もなぜ丸くなる?重力?自転?と丸いものに非常に興味があるのだそうだ。
ろくろ盤も太陽系に最近見えてきて困ると笑う、ひろすえ。自分が生きている毎日で感じるイメージや出会いと、そういった宇宙との法則、
周期を重ねるとどうなるのだろうと日夜、形を考えているのだそうだ。
不思議な感性のひろすえたかこ。
そう思うのはもしかしたら、宇宙の法則とひろすえたかこの魔法にかかってしまったせいかもしれない。
<陶歴>
2010 「景色を食べる」日菓×うつわhaku(京都)
2011 アートフェア京都ホテルモントレ京都 客室展示(京都)
アサヒビール大山崎山荘美術館「大茶会」日菓×うつわhaku(京都)
2013 MAISON DʼART gallery 「月をめでる」makomo×うつわhaku(大阪)
2014 MAISON DʼART gallery 「現代美術作家5人展」(大阪)
URBAN RESEARCH 京都店 5周年記念 企画展(京都)
2016 「神保町いちのいち 池袋店」春のフェア「彩る」池袋西武本店(東京)、
西宮阪急「街でみつけた素敵なお店と個性派雑貨特集」(兵庫)
2017 京都岡崎 蔦屋書店にて展示・販売
現在 11月に開催予定の宇宙に関する茶会のための茶碗の制作途中
赤土でつくった動物の顔に、色とりどりの色が塗られ、まるで南米のマヤやアステカの祭祀の道具のようである、これが吉村尚子の作品を最初に見た際の感想である。
少し毒を含んだ可愛らしさと生命感あふれるその造形は、素朴ながらも今にも動きそうな力を宿した動物たち。
大地に根差したような力あふれる形が、吉村の大きな魅力である。
どの作品からも、彼女が無我夢中で作り上げた手の跡や、筆の跡など制作の軌跡が感じられ、一緒に土を練り上げているような気持にとらわれる。童心に帰り、作品を愉しみたい。
1980 三重県伊賀市生まれ
2005 大阪芸術大学 修士課程造形表現修了
2007 伊賀市に工房を作る
2008 「吉村尚子 陶展」
-流動する線-(伊賀)
2009 「女流陶芸3人展」出店(滋賀)
2010 LIFE STAGE Piare「陶器銅器展(二人展)」出展(神戸)
2011 KOBO Gallery「Simple Cup展」 (シアトル2011/2012)
やきものマルシェ 阪急うめだ本店
naomitu studio(大阪)
2015 大丸京都 アートサロン
ESPACE KYOTO 吉村尚子・濵田光紀 作陶展(京都)
紅椿それいゆ
吉村尚子展 個展「Tales of clay」(京都/2013/2014/2015)
2016 Gallery佑 尾花友久・吉村尚子・濵田光紀 陶展(名古屋)
昨年の森本真二の展覧会は酒器がメインの展示でした。炎を巧みに使って焼き上げられた器は、どれも深みのある遊び心にあふれた作品で、お酒をいただくのにピッタリの、渋くて粋なものでした。
人生を積み重ねて、その先にある楽しさや、もちろん大変さも含めた「豊かな気持ち」を代弁してくれるのが森本作品の魅力です。
そしてその中には、忘れてはいけない子供のような無邪気さがあちこちに見え隠れして、作品は一層輝いて見えます。
さて、今年はどんな器がやってくるのでしょうか?織部を再度、窯の火をくぐらせて赤く染め上げた赤織部。
そして油滴天目を追い求める中で生まれた、深い深い漆黒の黒天目。
森本さんのいたずらっ子のような眼がきらりと光ります。その瞳には、次の作品が見えているのでしょう。
作陶展の会期中は、全日、森本さんは会場で皆様をお待ちしておられます。作品もご本人も楽しみな展覧会です。
<宋永窯 森本真二 陶歴>
1963 京都に生まれる
1986 京都市工業試験場伝統産業研修専攻科修了
1987 京都府陶工職業訓練校成形科修了
1991 山梨県増穂にて登窯・穴窯焼成を担当 池田満寿夫氏らの焼成を担当
1992 京都市山科、清水焼団地において新工房を開く 国際陶磁器展 美濃’92初入選
1993 大阪阪神百貨店にて個展以後毎年全国の百貨店、画廊にて精力的に展覧会を開催
1998 京都・山科の工房を亀岡・東別院の地へ移す
1999 リッツ・カールトン・ホテル大阪にて茶会と個展
2015 銀座松屋にて20回目の記念個展を開催
赤織部と天目、白磁を中心に現在に至る。
端正な造形の中に優しさの感じられる加古の作品。
彼は京焼の窯元に生まれ育ち、当たり前のように京焼の仕事を志しました。
しかし、嵯峨美術短期大学で新たな陶芸の方向性に感化され、現在は京都と篠山の工房で作陶しています。
ルーツは京焼にありながら丹波焼の作家との交流も深く、独自の表現を目指しています。
また彼は求める作品によって、数種類の土と薪窯・電気窯を使い分けます。
彼の窯はいずれも小振りであるがゆえに高い頻度で焼成を行います。それによってより多くの試行錯誤が行えるのです。
彼の厳しいまなざしから生まれる作品の優しい魅力を味わって頂ければ幸いです。
〈加古勝己 陶歴〉
1965 京都市生まれ
1986 嵯峨美術短期大学 陶芸科卒業
1989 日本陶芸展 入選
1994 京都工芸ビエンナーレ展 優秀賞
2001 倒炎式単窯築窯 薪窯にて焼成をはじめる
2004 田部美術館 「茶の湯の造形展」 優秀賞
2005 篠山市上筱見にて作陶活動を開始する
2010 第四回現代茶陶展 奨励賞
2011 日本陶芸展 入選
田部美術館 「茶の湯の造形展」 奨励賞