「山内駿 陶展」

83(2017.03.13)

 

1今回は、2016129()から21()の期間で開催された「山内駿 陶展」をご紹介させていただきます。山内さんの作品は、まるで金属のような雰囲気を持ち、手に取るまで本当に陶磁器の作品なのかわからないものとなっております。

 美術館で展示されていた金属器の持つ、年月を経て風化した独特の雰囲気に魅了され、陶磁器でも表現できないかと研究を重ねられて、編み出された独自の技法「銀刻彩」を使い、制作されています。

 

2 この技法は、焼き上げた作品の上から銀彩を施し焼き付け、その後、機械で削り落としていくという技法です。

貴重な銀を惜しみなく全体に焼き付けた後に削り落とす。簡単なように感じるこの技法ですが、実際には多くの時間、

失敗からの経験なくして制作することは困難な技法となっております。

 

 

3 京都伝統工芸専門学校(現大学校)を卒業後、灰釉を使い素晴らしい作品を作り続けておられる猪飼祐一氏に師事し、その後独立。

独立当初は天目釉をメインとした作品を制作しておられましたが、「銀刻彩」と出会い、その作品の幅を大きくしておられます。黒く鈍く光沢を放つ山内さんの作品は一見して陶磁器の作品には見えない作品です。

しかし、使ってみると底には金属器にはない温かみや柔らかさがはっきりと見え、生ける花やのせる料理を包み込み、空間を引き立ててくれます。

実際に使用することで見えてくる世界があり、それは山内さんの培ってきた「用の美」にほかならないと思います。

手の中で、生活の中で優しく微笑んでくれる山内さんの作品。京都陶磁器会館でお取り扱いしておりますので、京都におこしの際にはお立ち寄りいただき、ぜひ御覧ください。

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