森本真二 陶展 –茶盌と酒器-

79(2016.12.12)

1 2016930()1012()の期間中に開催しておりました「森本真二 陶展 と酒器」をご紹介させていただきます。京都府亀岡市で作陶されている森本さんの作品は登り窯や穴窯といった自然のちからを借り焼き上げる作品を制作されています。

 赤織部という本来、緑色の釉薬を独自の調合で鈍い赤色に変化させて作品や、鉄を使った天目系の釉薬を得意とする森本さん。

 その作品は、ざっくりとした土感と手に馴染む柔らかなフォルムが使う者の心を読み取り優しくときに強く語りかけてくるような作品となっております。

2 焼成時に降りかかる灰が自然と釉薬になる灰被りの作品や、何度も焼き上げることで特殊な斑模様が出てくる油滴天目。どの釉薬も作り手の意識の届かないところで発生する独特の雰囲気を持ち、使い所や焼き上げることが難しいとされています。

 そんな、一癖も二癖もある釉薬を巧みに使いこなし、また、実際に使用するときのことを考えられた形と合わせることで、存在感と共生する力を持った作品へと昇華しています。

 

 

3 今回の展覧会は「茶盌」と「酒盃」に焦点を当てた展覧会で、作品の多くは抹茶碗やぐい呑といった作品で構成されていましたが、中には食器である小鉢や皿もあり、食材豊かな秋の季節に向けた展覧会となっておりました。

 使うことに重きをおいた作品の数々は、茶道といった文化的な一面と、食べるという野性的な本能をくすぐる一面を持っており、美と食を一度に満たしてくれるような作品になっております。森本さんの作品は一部ではありますが、京都陶磁器会館にて展示させていただいております。これから、ますます色づき秋映える京都と、楽しい陶磁器を京都陶磁器会館でお楽しみください。

 

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