森里陶楽「黄昏時と優美な器」展

78(2016.10.21)

12016916日(金)~28日(水)の期間中に開催しておりました、『森里陶楽「黄昏時と優美な器」展』をご紹介させていただきます。

京三島の老舗、森里陶楽窯の作品はオーソドックスな三島技法を用い作り上げられておりますが、その土色や上絵の具などの加飾によって独特の雰囲気を持つ、他に類を見ない三島の作品となっております。

 

 

2当代で3代目となられる森里陶楽さんですが、先代との作品を比べると同じ三島の技法を用いた作品でも全く違う作風の作品となっております。土鍋などに代表される三島手ですが、ロクロやタタラ製法で作られた生地に、判子を用いて模様をつけていく技法です。判子の模様にへこんだ生地に違う色の土を埋め込みより図柄を強調させたものを「象嵌」といい、森里工房では、象嵌を用いた作品が多く見受けられます。また、今までの三島手の作品と決定的に違うのは、その作品の持つ雰囲気です。柔らかくぽってりとしたイメージの多い三島手の作品ですが、森里さんの作品は、エレガントにまとめ上げられ、洋風な雰囲気を放っています。さらに、ポイントごとに金彩を施すことで、より高級感を醸し出し、土そのものの持つ色味と合わさって、見る側に洋食器のようなイメージをもたせます。

 

3作品のデザインは、全て当代が考えておられ、時代やその時々に合わせて作り上げられています。先代の残したデザインや作品も作り続けておられるので、過去と現在の対比がよく現れており、見る側を飽きさせることのない展覧会となりました。また、作品には圧倒的な技術力が見える作品もあり、まるで和傘のような鉢は、縁と鉢の部分が分離しており、それを陶磁器でできた骨が支えている作品があり、判子だけでなく、陶磁器を制作する中で最も難しい作り方となっています。

 

森里陶楽展は終了いたしましたが、引き続き、京都陶磁器会館では、森里陶楽さんの作品を取り扱っております。これから、ますます京都が映える季節となってきますので、お近くへお越しの際は、ぜひ、京都陶磁器会館にお立ち寄りください。

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