紅村展 ~伝統と次代への挑戦

2016.10.07 更新

林 紅村

紅村展 ~伝統と次代への挑戦

長い歴史を持つ清水焼の伝統の中で、紅村窯は100年以上続く窯元です。

大正時代初期より二代林 円山(えんざん)氏が清水のちゃわん坂(清水新道)で制作を始め、青磁を主として貿易関係など戦前大きく事業を行いました。

戦後円山(えんざん)氏は紅村と改名、現在の紅村窯を代表する白磁、青磁を開発、その子息三代 紅村(林克行氏)がその技術を継承し、

四代目となる林侑子氏とともに三代にわたって培われた伝統技法と格調を研磨しつつ、その美しさの中に新しい息吹を盛り込んだ作品を制作しておられます。

 紅村窯の西施白磁と名付けられた白磁は、中国の古窯で作られた白高麗(白磁)から発展したなめらかな乳白色が印象的です。

ロクロ成形に至難の技を必要とするそうで、西施洗練された形と、東洋美人の肌を連想する白玉の様な釉調から相まって、

まさしく中国の代表的な美女 西施 からの命名がふさわしい作品です。

 また、青磁の作品も、中国の宋時代、豊穣な成熟を示した青磁を古来の製法を躇襲しながら優雅で独自の深い色調を持った青磁で、

高貴で格調高い作品となっています。

 今回は三代紅村(克行氏)、四代紅村(侑子氏)の二人展として、受け継がれてきた清水焼の、美しい伝統をご覧いただこうと企画いたしました。

三代の洗練されたシャープなラインと四代の可愛らしさとのコラボレーション、そして新しい作品への挑戦をお楽しみいただけると幸いです。

 

 

三代紅村 林 克行

1940年 京都市に生まれる

京都芸術大学 彫刻科卒

丸善にて林紅村父子展

(日本橋、大阪をはじめ各地の支店)

新宿京王百貨店 新宿紀伊国屋 

銀座永井画廊 神戸三越

新宿ギャラリー巴堂銀座ギャラリー江 

JR大阪三越伊勢丹ぐい呑みコレクション展   

四代紅村 林 侑子

1981年 林克行の長女としてうまれる

2004年 京都府立陶工技術専門校成形科卒

2005年 同校 研究科卒

2006年 京都市産業技術研究所

陶磁器本科卒業

2006年 父・林紅村に師事

2008年 Art&Crafts 紅村にて初個展

大丸京都店や高島屋京都店などで二人展やグループ展に参加

2012年 紅村studio『Arche』アルシェをオープン

2014年 春の展示会で林侑子として初のうつわブランド『yu’s style』を発表

アルシェでの『こどもとうげいくらぶ』始動

会期11月25日(金)~12月7日(水) 木曜日休館日 午前10時~午後6時まで

森本真二 陶展 -茶盌と酒盃と-

2016.10.01 更新

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織部は普通、緑色ですが、それを再度、窯の火をくぐらせて赤く染め上げた赤織部。

そして油滴天目を追い求める中で生まれた、深い深い漆黒の黒天目。

宋永窯 森本真二が編み出した赤織部と黒天目が綾なす

「茶盌と酒器」の世界を、深まりゆく秋の気配とともにお楽しみください。

 

山下裕美子「きおくの輪郭」

2016.09.14 更新

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山下裕美子「きおくの輪郭」

土という素材から、「重量」を可能な限りそぎ落としたならば、表層には何が残るのだろうか。そんな思いから、山下裕美子は様々な形を限りなく薄い膜として表現しようと試みてきました。

彼女の作品は、原型の上に泥漿を塗りながら、和紙を12~14層張り重ねます。そして原型を取り除いて乾燥させ、焼き上げられます。焼成することにより和紙は燃え尽きますが、和紙にしみ込んでいた泥漿は焼けて磁器となり、何層にも重なった磁器特有の透光性を持った膜状の作品が完成します。

焼け残った磁器の膜、その作品の中に内包された空気や和紙のテクスチャーが、和紙が存在した「痕跡」として残ります。この「痕跡」は紙から磁器への変換であり、彼女にとっては物質を時間へと変換させる試みであるようです。

また、山下にとって作品を構成する膜は、空間そのものの輪郭であり、内と外との境界でもあり、そしてそれは作者にとっても、見る者にとっても、自分と世界の境界線(輪郭)となります。山下はこの境界をできるだけ虚ろにし、空間に拡散していくものを作ろうと試みてきました。しかし作品からできる限り重さを取り除き、存在感を希薄にしても物体は面前に存在し続けます。この矛盾から、彼女は世界に自己と他者、世界と自分の存り方を問いかけています。

会場を歩いて、作品の置かれた空間を移動することにより、時間の記憶と、自らの存在へ思いを巡らせていただければ、と思います。

 

DEPARTURE 市川博一・岡田優・小川宣之三人展

2016.07.15 更新

DEPARTURE 市川博一・岡田優・小川宣之三人展

 

 

爽やかな青磁の市川博一

のびやかなラインが特徴の白釉の岡田優

強烈な個性が際立つ小川宣之

 

京都の今を駆ける人気作家三人の作陶展です。

「酒器」をテーマとした競演と、それぞれの想いを形にしていただく展示が会場いっぱいに繰り広げられます。

“DEPARTURE”は出発という意味の他に逸脱という意味もあります。ここから始まる三人の競演。京焼の絶対値である五条坂の会場で、ある意味、京焼からの逸脱、強いては、新たなる京焼の出発というコンセプトで開催する展覧会です。京焼の未来への架け橋、是非ご高覧ください。

 

会期:2016年7月15日(金)~27日(水)

時間:9:30~17:00 (木曜日定休)

会場:京都陶磁器会館2Fギャラリー

 

 

市川博一
市川博一

<市川博一>

1959 京都に生まれる

1982 京都市立芸術大学卒業

1984 京都市立芸術大学大学院修了

1994 第6回創工会展京都府知事賞受賞

1995 全関西美術展関展賞 第一席受賞

(’99読売新聞大阪本社賞 受賞)

1997 京展市長賞受賞

2003 全関西美術展審査員(同’10、’13)

2010 個展(京都高島屋美術画廊、同’13)

京都工芸美術作家協会会員  創工会会員

 

岡田優
岡田優

<岡田 優>

1963 京都に生まれる
京都府立陶工訓練校卒業
京都市立工業試験場陶磁器コース終了
宇治炭山、走泥社同人河島浩三氏の下で陶技を学ぶ

1987 宇治炭山にて独立、赤雲窯築窯

2008 日本伝統工芸近畿展(日本経済新聞社賞)

2009 おおたき北海道陶芸展(NHK放送賞)

2010 おおたき北海道陶芸展(北海道新聞社賞)

2012 京都美術工芸ビエンナーレ(大賞)

2013 日本伝統工芸陶芸部会展(日本工芸会賞)

神戸ビエンナーレ現代陶芸コンペティション (準大賞)

2016 大阪工芸展(美術工芸大賞) 等受賞

公益社団法人 日本工芸会正会員
 

小川宣之
小川宣之

<小川宣之>

1963  京都に生まれる

2003  ファエンツァ国際陶芸展 ラヴェンナ商工会議所会頭賞(イタリア)

2005  ファエンツァ国際陶芸展 金賞(イタリア)

2006   日本陶芸の伝統と前衛 パリ国立セーブル美術館(フランス)

2011   日本×ファエンツァ やきものの現在 (イタリア文化会館/東京)

長三賞常滑陶芸展

2013  Contemporay Japanese Design & Arts (Millano)

Istituto Giapponese di Cultura in Rome (イタリア)

神戸ビエンナーレ現代陶芸コンペティション 奨励賞

2015   マイヤー×信楽大賞 日本陶芸の今-伝統と革新

コレクション ファエンツァ国際陶磁博物館 兵庫陶芸美術館

Rencontre いま、ここで、出会う 交差する現代陶芸コレクション

兵庫陶芸美術館

天野智恵美展  ~今日までの私 今日からの私~ 

2016.04.15 更新

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天野智恵美展  ~今日までの私 今日からの私~

 

京都で陶芸を始めて10年

私を育んでくれた京都で

今日までの私を

今日からの私を

作品に込めて。

 

これが作者御本人から寄せられた、展覧会への想いです。

木の実を思わせる優しいフォルム。華やかで繊細な搔き落し。柔らかな雰囲気の青磁。智恵美さんの作品はどの作品もふんわりと優しいイメージで、陶磁器というよりまるで草花と一緒にいるような印象があります。でも、決して簡単に作られた作品ではありません。作品を拝見すると、とてもデリケートに、細かいところまで計算し尽した、精密な作業の積み重ねであることがわかります。「作るのが遅くって…。」とご本人は言われますが、これだけ手の込んだ作品ならば、制作に時間がかかるのは当たり前だろうと思います。技と心を思い切り込めて作りだされる作品。これまでの10年で培ってきたもの、更なる進化を遂げてこの上に積み重ねていくもの・・・。これからの智恵美さんの作品を楽しみにご覧ください。

天野智恵美 略歴

1987  神奈川県生まれ

2009  京都工芸伝統大学校卒業

波佐見焼窯元にて絵付師勤務

2010  京都にて制作

2015  ルーサイトギャラリー(東京)個展

 

<コンペディション>

2009  第49回日本クラフト展入選

2014   陶ISMコンペディション グランプリ

日吉開窯100周年記念コンペディション グランプリ

 

天野智恵美 E-Mail potter.chiemi@gmail.com

 

カリン・プッチュ・グラッスィ  Kyoto-Firenze Twining

2016.03.25 更新

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カリン・プッチュ・グラッスィ  KyotoFirenze Twining

カリン・プッチュ・グラッスィさんはイタリア・フィレンツェ在住のドイツ人陶芸家です。CUT&STRECHという彼女独自の技法を用いて、優しくおおらかな作品を制作、世界中で発表をしておられ、京都と姉妹都市であるフィレンツェから来日されます。

姉妹都市とはいえ、全く異なる歴史や文化、自然環境の京都とフィレンツェ。しかし、人のこころや、美に対する意識の根底に流れている人間としての想いは、理解し合うことができ、友情を育むことができます。カリンさんがイタリアで制作した作品と、日本で制作した作品を一堂に展示し、国境や文化の違いを超えて、一緒に美に向かって進む…そんな心の通い合いを形にした展覧会です。春の訪れとともに、おおらかなカリンさんが、京都へ新しい風を吹き込んでくれます。是非、ご高覧ください。

 

カリン・プッチュ・グラッスィ 略歴

1986 フィレンツェ美術大学陶芸科卒業

1990 ロンドンゴールドスミス大学陶芸科卒業

2012 BACKSTEIN-terracotta(ドイツ)

Rassegna国際現代陶芸展 第一席 (イタリア)

ファエンツァ“I Rakuriosi” 第一席 (イタリア)

Lark Crafts(Ed.), The Best of 500 Ceramics(ニューヨーク&ロンドン)

2013 Arte Ceramica oggi in Italia(ミラノ)

2014 Keramik Europas(ドイツ)

2015 第3回Ceramics UNICUM2015国際トリエンナーレ(スロベニア)

Ceramic Monthly“From Idea to Finished Form”掲載

 

 

4月3日(日曜日) 午後2時より カリンさんを囲んでのワークショップ

“Kyoto-Firenze Twining”

開催予定

 

「福島武山一門展」

2015.04.03 更新

ちらし表

一般財団法人京都陶磁器協会では「福島武山一門展」と題しまして、企画展を開催する運びとなりました。

350年余の歴史を誇る九谷焼の伝統を継承しつつ、常に新たな創造を目指している九谷赤絵細描の巨匠福島武山先生。京都陶磁器会館では春のビックイベントとして福島先生御一門の展覧会を開催させていただきます。

「赤絵細描」とは、九谷三大技法のひとつで、白磁の上に極細の筆を使用し、髪の毛よりも細い赤い線を描きつめ、文様意匠を作り上げていく超絶技巧です。福島武山先生は、途絶えていた赤絵細描を独学で習得し、現代に甦らせた第一人者として、2004年に指定無形文化財保持者となられ、後進の指導にも力を入れておられます。古典的な鳳凰・龍・唐子や山水などの絵柄から、幾何学文様や網手を進化させた現代的な文様まで、優美で気品にあふれ人の目をとらえて離さない存在感はいずれも「福島赤絵」にのみ表現しうる魅力です。そして「福島赤絵」の魅力を若い感性でそれぞれに花咲かせている門下生のみなさん。女性らしいたおやかさと大胆さは、見る人をひきつけてやみません。

春爛漫の京都・五条坂で九谷焼の花を心行くまで、お楽しみください。

第36回 京焼・清水焼展

2014.08.25 更新

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毎年ご好評いただいている「京焼・清水焼展」が今年も京都陶磁器会館にて開催します。

今年度の開催は8月8日(金)~12日(火)の5日間です。

 

毎年開催されているこの「京焼・清水焼展」では、京都で制作されている窯元、作家の作品を

ここ京都陶磁器会館にて展示いたします。

 

会場にてアンケートにご記入いただくと抽選で素敵な京焼・清水焼をプレゼントいたします。

 

村上 愛 展

2014.02.16 更新

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現代の工芸を思考し模索する若き作家の一助となることを目的とした、後継者育成関連事業の一環として、一般財団法人京都陶磁器協会主催の展覧会を開催いたします。

 

2月16日(日)から3月2日(日)までの期間、京都陶磁器会館2階ギャラリーにて『村上 愛 展』を開催いたします。

「実体」と「空間」。それぞれの「もの」は決してそれだけでは完結せず、時間的にも空間的にも、前後左右に、他者とそして自分自身にも有機的につながっている、という観点から、造形をイメージ・展開させました。立体的な空気の層を巻き込みながら、生命体のような形にアッサンブラージュしていきます。

「空間」も「もの」も「人間」も互いに作用し合い、自由にそして対等につないでくれる、それによりもう一つ別の次元へと手を携えて育っていくような情景を出現させたいと思います、と村上さんは語っておられました。

村上さんの作品は、様々なパーツにわけた素材をつなぎ合わせ、より大きく立体に仕上げていくことで、つながりを持った単一ではない、生命体のような表情を持つ作品です。作品の一部一部に表情があり、集合体としての表情と、個々のパーツの表情とがあり、今にも動き出す、動いているような感覚を持ちます。

 

この展覧会は京都陶磁器会館2階ギャラリーを、積極的に創作活動をしている若手の作家さんに使ってもらうことで、現代の工芸を、国籍を超えて広く皆さまに知ってもらうことを目的としています。今後も現代の創造溢れる若き作家のみなさまの助けとなるべく展覧会を開催いたしますので、その折は是非、京都陶磁器会館へお越しくださいませ。事務局スタッフが心よりお待ちしております。

また、会期中の2月22日(土)にワークショップを行います。ワークショップの詳細、申込はこちらからお願いいたします。

「あつまるカタチ」~陶芸家 村上愛ワークショップ~

『宮里絵美展』

2013.10.11 更新

2013年10月11日(金)から10月20日(日)までの期間、京都陶磁器会館2階ギャラリーにて、2013年展覧会、第4弾といたしまして「宮里 絵美 展」を開催いたします。

 

宮里絵美さんは京都府陶工技術専門校を卒業後、森里陶楽に師事し、2012年京都花園にて開窯独立されました。作風は研ぎ澄まされたロクロの技術と、ピンセットによる細かい装飾を得意とし、作品に高級感があり、まるでアンティークのような趣もあります。生活の中でほんの少しの贅沢を感じることのできるものを心掛け、作陶されています。是非この機会にご覧ください。

 

この展覧会は、現代の工芸を思考し模索する若き作家の一助となることを目的とした、後継者育成関連事業の一環とした、財団法人京都陶磁器協会主催によるものです。京都陶磁器会館2階ギャラリーを、積極的に創作活動をしている若手の作家さんに活用してもらうことで、現代の工芸を、国籍を超えて広く皆さまに知って頂くことを目的としています。今後も現代の創造溢れる若き作家のみなさまの助けとなるべく展覧会を開催いたしますので、その折は是非、京都陶磁器会館へお越しくださいませ。