藤信知子さんの作品は、可愛らしい天女など、独特な表情のモチーフを取り入れたオブジェや器が魅力的です。
「陶芸の固定観念に縛られず、奇抜さ・面白さといったユーモアを大切に、、、」と語る彼女の作品は、独自の魅力にあふれています。 しかし、その魅力には伝統的な陶芸の美質が取り入れられているのです。 鋭い彫りで加飾された生地に、透明の色釉を施すことによって、鋭いラインは優しくなります。また、凹凸に沿って釉薬の厚みが変わることによって、グラデーションが現れ、加飾が立体的に見えます。 この彫りと透明釉の組み合わせは、伝統的な技法「影青」の応用といえ、作品の奇抜さを引き立てています。
本展では、器やオブジェを展覧いたします。 素敵な世界をお楽しみ下さいませ。
藤信知子(ふじのぶ・ともこ) 陶歴
1988年 大阪に生まれる
2010年 京都精華大学芸術学部素材表現学科陶芸専攻卒業
アジア現代陶芸‐新世代の交感展(韓国)
2011年 トーキョーワンダーウォール公募
立体・インスタレーション部門
入選
2012年 京都精華大学大学院芸術研究科
博士前期課程陶芸専攻修了
京都美術・工芸ビエンナーレ2012
入選
岡安真美さんは、カラフルな釉薬の粒を施した「arale」シリーズの作品で人気を博してこられました。
彼女は、幼少期に数字に性格のようなものを感じておられ、そのイメージを粒に投影したのが「arale」シリーズです。 2017年からは、器形の作品だけでなく、りんごやティッシュなどの具象モチーフに粒を施した「記憶」シリーズが新展開されました。 モチーフに対する関心と粒に込められた彼女の想いが、幻想的な存在感を醸し出しています。
本展では、「記憶」シリーズのオブジェを中心に展覧いたします。 彼女の紡ぎだす「幻覚風景」の世界をお楽しみ下さいませ。
岡安真美(おかやす・まなみ) 陶歴
1984年 福井県生まれ
2007年 京都嵯峨芸術大学短期大学部美術専攻科美術専攻卒業
2013年 高島屋京都店 美術工芸サロン「色器」
2015年 京都高島屋 美術工芸サロン「arale」
2016年 アートサロン山木/大阪
岡安真美展
2017年 GALLERY sophora
/京都「きおくのかたち」
2018年 神戸DAIMARU
アートステージ 個展
有田国際陶磁展
入選
Anthropological Art Project(アープ)とは文化人類学の視点でアートを実践するプロジェクトです。
今回は「古代とは想像の産物」であるというテーマのもと、陶芸作家の多田恵子が作成した陶板や土器が発見され、それを研究者が「〜文明」と命名するプロセスをパロディとして展示します。
発掘から、比較検証、論文の執筆、社会的評価といった一連の流れを再現し、あるモノがある文明へと置き換えられていく過程を作品として展示します。
(アープ代表 鈴木伸二)
Anthropological Art Project 略歴
2014年 活動開始
2017年 遺され村の美術展に参加
現在、フランスの公文書館で発見した史料をもとに写真集を製作中
多田恵子 陶歴
1973年 奈良県生まれ
1996年 大阪芸術大学工芸学部陶芸専攻卒業
青年海外協力隊陶磁器隊員として
モロッコ王国に赴任
現在、タイセイ陶芸教室主宰
関西を中心に個展、グループ展で発表
中村譲司さんは、オブジェに器と幅広く制作される作家さんですが、最近は特に茶器などで高い評価を得ておられます。
日本の居住空間は、独自の気候や文化の中でめまぐるしく変化し、それに伴ってインテリアも変化し続けています。
中村さんは器もインテリアの一部と考え、それが使われる空間を意識して作陶されています。
そのような意識と国内外で積まれた研鑽は、しっとりした釉薬の肌や凛とした造形などの佇まいに宿っています。
本展では茶器を中心に展覧いたします。中村さんの「器の佇まい」の世界をお楽しみ下さいませ。
中村譲司(なかむら じょうじ) 陶歴
1981年 大阪府生まれ
2003年 京都精華大学芸術学部造形学科陶芸専攻卒業
河島浩三、喜信氏に師事
2012年 G-studio設立
第24回工芸美術創工会展(京都文化博物館:京都)京都府知事賞
2013年 京展(京都市美術館:京都)京展賞
2018年 第3回 日本陶磁協会奨励賞関西展 (京セラ美術館:京都)奨励賞
コレクション
世界のタイル博物館/市の倉さかずき美術館/法然院/
ファエンツァ国際陶芸美術館
George Nakamura HP
http://george-nakamura.com/
赤沢嘉則さんは、陶芸・日本画・写真と様々なジャンルを超えて、国内外で活動される美術家です。 交趾で名高い窯元にお生まれになり、大学で学ばれた日本画や、モザイクの美しさとその素材の交趾との親和性の発見など、様々な要素をもとに制作されてきました。
本展は、海外の国際公募展において展示された作品の里帰り展です。つまり様々な感性や価値観を持った人々に選ばれた作品が一堂に展示されます。伝統的な交趾の技術と海外で受けたインスピレーションにより生まれた作品、そして、それらを通して感じられる作者と他者、時代の流れや国々の関係など、その時空を超えた、彼の「空の思考」の世界をご鑑賞くださいませ。
赤沢嘉則(あかざわ・よしのり) 略歴
1971 生まれ 現在 京都市在住
1994 京都市立芸術大学 美術学部 卒業
2002 京都 堺町画廊にて日本画個展「華の雨」
2009-10 安土城跡 総見寺 襖絵15面「老桜」「相生」制作 奉納
2016 「Made in Japan メイド・イン・ジャパン」
ファエンツァ国際陶芸美術館所蔵 20世紀の日本陶芸展 (イタリア)
2017 「第39回グアルド・タディーノ国際陶芸展」にて銀賞受賞 (イタリア)
2018 赤沢嘉則 陶展「JAPAN (ジャパン)」日本橋三越本店 (東京)
赤沢嘉則 Akazawa Yoshinori 公式HP
http://yoshinoriakazawa.com/index/en/
竹村陽太郎さんは、色化粧の吹付けで、カラフルな作品を制作されています。
マスキングのシャープなラインと、吹付の優しいグラデーションが心地よいハーモニーを奏でます。また、最近ではコントロールできない要素への関心も高まったそうで、新たな表現にも挑まれています。
本展では大作と食器を展覧いたします。竹村さんの、吹かれて彩るグラデーションの世界をお楽しみ下さいませ。
1981年 京都に生まれる
2009年 京都府立陶工高等技術専門校 成形科 修了
2010年 京都市工業試験場 修了
大日窯にて、父・繁男のもとで作陶を始める
2011年 第40回日本伝統工芸近畿展 入選(以降、毎年入選)
国民文化祭京都2011美術展「工芸」 奨励賞 受賞
2012年 京都府美術工芸新鋭展 京都美術・工芸ビエンナーレ入選
2017年 第46回日本伝統工芸近畿展 新人奨励賞 受賞
第64回日本伝統工芸展 入選
京都日吉製陶協同組合青年会の展覧会を開催いたします。
「日吉」地区は、東山の智積院の南側に位置し、100余年の歴史を有する製陶地域で数多くの窯元が軒を連ねています。地区の中には「京都日吉製陶協同組合」があり、本展はその青年会の展覧会です。2階ギャラリーには各々の作品を、1階展示場には酒器を展覧いたします。また、京都日吉製陶協同組合の組合員の作品も併せて展覧いたします。
お気に入りの逸品を探しに、ご高覧下さいませ。
出品者
市川正吉 伊藤竜也 巌田建
加藤邦起 高島慎一 髙野洋臣 土谷聡
九谷で活動される、井上雅子さんと柴田有希佳さんの2人展です。 どちらも九谷の上絵付の表現ですが、それぞれ違った魅力を探求されています。
井上さんは、モノトーンで動物を描かれます。水墨画調の濃淡を意識し、墨の香りが伝わってくるような、日本的な潤いのある表現が魅力です。また、モチーフのフォルムや動きに着目し、日常の中にありながらも非日常感を孕んだ作品を目指されています。
柴田さんは、九谷五彩を基調に植物を描かれます。現代にふさわしい五彩を模索され、余白の美が魅力です。モチーフは必ず実物のスケッチを欠かさず、植物の生命感あふれる作品を目指されています。
おふたりの、それぞれの色が響き合う世界をお楽しみ下さいませ。
井上雅子 陶歴
2000年 飛騨国際工芸学園 修了
2002年 石川県立九谷焼技術研修所 卒業
2013年 九谷焼伝統工芸士 認定
2016年 第55回日本現代工芸美術展 入選
2017年 第56回日本現代工芸美術展 現代工芸新人賞 受賞
個展・グループ展多数
柴田有希佳 陶歴
2006年 金城大学短期大学部美術学科 研究生修了
2008年 石川県立九谷焼技術研修所 研究科卒業
山田義明氏に師事
公募展 入選・入賞多数
作品収蔵 石川県・石川県立美術館
(左)柴田有希佳「笹文扁壺」
(右)井上雅子 「龍」
髙木竜太さんは、様々な色調の青い結晶釉が魅力的です。
その結晶釉は「藍」「碧」「蒼」「翠」の4種類があり、それぞれ異なった輝きをみせます。 髙木さんは修業時代に過ごされた沖縄の海のように、色彩豊かな輝きに満ちた釉薬を研究され、「きれいだな」と人に感動を与えられる表現を目指されています。
本展ではその結晶釉を纏った食器が一面に広がります。大海原の浪に咲く華のような作品たちの世界をお楽しみ下さいませ。
天目釉の作品を作られている、西田一美さんの初個展を開催いたします。
西田さんは、2003年に30数年間勤めた会社を退社され、それから陶芸を始められました。 会社では技術者として商品開発に携わられ、物を作る楽しさを感じてこられました。 その「ものづくりの楽しさ」は作陶にも通じるところが多く、陶芸の世界へ深く誘われていかれました。 そして、この10年間は天目釉にテーマを絞られ、新たな表現を探求されています。
本展では、天目釉の大作から食器まで、渾身の作品を一堂に展覧いたします。陶芸に、天目に魅せられた、西田さんの世界をご高覧下さいませ。
西田一美 陶歴
1944年 生まれ
2004年 清水焼窯元にて初歩から陶芸を学び始める
2010年 第39回日本伝統工芸近畿展入選
(以降 2011年、2013年、2014年、
2016年、2017年、2018年 入選)