2018年6月15日(金)~27日(水)まで開催しておりました、「開窯100周年記念展 森俊山窯のあゆみ」をご紹介させていただきます。 この展覧会は、泉涌寺地区にあります森俊山窯が開窯100周年を迎えたことを記念し、同窯から巣立っていった陶工と初代から当代までの作品を集めた展覧会となっております。
100年という歴史を歩んできた、森俊山窯。その窯元で作られてきた作品が、時代とともにどのように移り変わってきたか。そこで培われた技術を継承していった、若き陶工たちの現在はどうなっているのか。 開窯より培われてきた作品・技術・人の移り変わりと成長を見ることのできる展覧会となっておりました。
森俊山窯より巣立っていた作家たちや在籍中の作り手24名の作品が並び、森俊山窯が作り上げてきた、京焼の真髄を感じることのできる展示となっておりました。
様々な手法、様々な地域で活躍されている作家の方々の個性溢れる作品に、心動かされます。また、3代に渡る森俊山の作品は、制作年代によって様々に表情を変え、見るものの心を飲み込み連れ去る時代の激流とも呼べるような感情を感じさせるものでした。
森俊山窯の作風としては、乾山写を主とし現在では、銹絵だけではなく、色を取り入れたカラフルな乾山写となっています。しかし、先代や先々代では、時代に合わせたデザインを取り入れ、デザイナーとコラボした作品を制作したりしていました。
伝統の技法や柄だけではなく、広く新しいものを取り入れることに対して、明るく前向きであった窯元は、多くの若手を育てることにも注力していました。
若手ならではの柔軟な発想や取り組みを活かし、育ててきたため、今日において巣立っていった作家たちの多くが、活躍できる力を持っています。
本展覧会では、2階だけではなく、1階コーナも使い、作者の代表作と手にとって使っていただきたい作品とを棲み分けることで、見るものにも親しみやすく、また、欲しくなるような展示となっておりました。
そこには、巣立っていた若者に頑張ってほしい、もっと沢山の方に知ってほしいという、当代の親心が垣間見え、応援の気持ちに心が暖まる一方、凛とした時代の担い手たちの技術・デザインに驚きを隠せませんでした。
数多くある窯元の中でも、次世代の育成に関して注力している、森俊山窯。その功績は、受け継がれていく精神や作り手たちが、姿形として活躍していくことで、まさに体現していくのではないでしょうか。
一般財団法人京都陶磁器協会では、これからの京焼を発展させていくであろう若い作り手を支援していくとともに、これまでの京焼を支えて来てくださった、窯元・作家に感謝し、未来の京焼のために活動してまいります。その一環として、京都陶磁器会館では、名工から若手まで、様々な作品を展示・販売しております。
京都・五条坂へお越しの際は、ぜひ御覧ください。